心身症
心身症
心身症は、小児科では思春期に認める病気の1つです。検査を受けても異常が見つからず、なかなかよくならない症状に対して、本人や保護者の方がよく悩まれます。心と身体が発達途中の思春期のこども達は、心のストレスが身体に現れやすい時期です。
起立性調節障害は、小学校高学年から中学校、高校生の思春期の時期に見られる自律神経機能不全で、起床困難や朝の倦怠感、頭痛などの症状から登校困難な状態になる場合もあります。小学生の5%、中学生の約10%の有病率と言われ、男女比は1:1.5~2と女子が多いとされます。自律神経の機能が低下し、循環器系の調節がうまくいかなくなることが原因です。起立性調節障害は、怠け癖ではなく自分の意思ではどうにもならない体の病気です。治療としては本疾患をしっかりと理解すること、日常生活の工夫(水分摂取や運動、睡眠をとることなど)を行い、必要時には内服治療を行います。
腹痛や腹部不快感が2か月以上繰り返し、排便後は腹痛が緩和するという特徴があります。体の不調に伴って下痢や便秘などが数か月以上続き、検査をしても異常が見られません。腸管に明らかな炎症や潰瘍などの器質的な病態はなく、腸管の働き(機能)に問題が生じて発症するとされています。こどもの腹痛の原因としても頻度が高く、ストレスなどの心理的要因も発症原因の一つとして考えられています。治療として内服治療や心理的サポートを行います。
思春期から20歳代の女性に多くみられます。発作的に呼吸が速くなり、それを制止できないために血液がアルカリ性に偏り、全身に様々な症状を起こします。過換気発作は、激しい運動や疲労、発熱などの身体的な要因、あるいは不安、怒り、恐怖などの心理的な要因が引き金となって出現します。過換気発作とともに、空気飢餓感(空気が吸えない感覚)、動悸、胸痛、嘔気、嘔吐、けいれん、手足のしびれ、意識消失など様々な症状を伴います。
摂食障害は、必要な量の食事を摂れない、自分でコントロールできずに過食となる、一度飲み込んだ食べ物を意図的に吐いてしまうなど、患者さんによって症状は様々です。代表的な病気には、神経性やせ症、過食症、回避性食物摂取症があります。摂食障害は主に思春期以降の女性に多く発症しますが、最近、低年齢化が進んでいます。病型の典型は、クラブ活動や習い事、友人からの指摘などをきっかけにやせ願望があり、極端なダイエットをした結果、やせが進行してしまいます。長期に渡ると無月経が持続し、不妊の問題や骨粗しょう症、低身長発症など様々な問題が発症します。中には命に関わる場合もあり、こどもの摂食障害は、保護者や学校の先生が気づくことが第一歩です。この治療は専門的な治療を要し、家族や学校などの協力を得ながら長期に渡るケアが必要です。
発達障害はいくつかのタイプに分類されます。自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症(ADHD)、学習症(学習障害)などがあります。これらの疾患の診断を行うには、ある程度しっかりとした評価が必要です。その際には適切な医療機関へご案内させていただきます。
保護者の皆様へお願い
私自身、前職(京都第一赤十字病院)では心身症を専門とした外来診療を行っておりましたが、この分野の診療には一人一人かなりの時間を要するため、当院では時間的に対応が困難な場合が予想されます。その場合は地域の連携機関にご紹介させていただくこともございますのでご了承ください。