熱性けいれん
熱性けいれん
熱性けいれんとは、生後6か月から6歳ぐらいの乳幼児のお子さまに起こる、発熱とともに起こるけいれんです。よく「ひきつけ」と呼ばれるものです。原因ははっきりと分かっていませんが、ほとんどの場合、発熱した1~2日目で熱の上がり際に起こります。起きる頻度は約10人に1人のお子さまが経験すると言われており、成長発達には問題ない場合がほとんどです。繰り返す頻度は人生で1回のみの場合もあれば、発熱のたびに起こる場合もあります。6歳を過ぎると熱性けいれんを起こすことは減ってきますが、インフルエンザやコロナウイルス感染の場合は6歳を過ぎても起きることはあります。
通常は、眼球上転したり、左右のどちらかに眼球が寄った状態で、左右対称に手足をピクピクと周期的にリズムを打つようにけいれん(間代性けいれん)したり、全身に力が入った状態でつっぱるようなけいれん(強直性けいれん)を認めます。けいれんする時間はほとんどの場合、5分以内で、その後自然にけいれんは収まります。その後、多くのお子さまは寝ていることが多いです。
このようなけいれんパターンの場合を「複雑型熱性けいれん」と呼び、通常の熱性けいれんとは異なり、髄膜炎や脳炎などによるけいれんの可能性がありますので、この場合は詳しい検査を行い、しばらく様子を見るために入院したほうがよいケースもあります。
熱性けいれんを起こしやすいお子さま(例えば1年以内に2~3回以上くりかえす)には、一定期間、けいれんを予防するお薬(ダイアップ座薬)を発熱(37.5~38℃を超える)に気づいたタイミングでお尻から入れ、けいれんを起こさせないようにする方法があります。1回目のダイアップを挿肛され、8時間後にまだ高熱が続いている場合、もう1回同じ量を入れていただくことが多いです。ダイアップを使用した場合、ふらつきや眠気などの副作用が生じる可能性があります。ダイアップは最後に熱性けいれんを起こしてからおよそ1~2年経ったところで中止することが多いです。
熱性けいれんは1回だけしか起こさないお子さまの割合は約2/3です。つまり、半数以上のお子さまが一生に一度しか、けいれんを起こしません。熱性けいれんを起こしても、のちにてんかんを発症する可能性は10%以下と言われています。
30分間隔を空けていただければ、解熱剤の座薬を入れていただいても大丈夫です。できればダイアップを先に入れ、その次に解熱剤に入れてください。
けいれん時間が長かったり、24時間以内に複数回けいれんがあったり、けいれんが収まった後も会話が成立しない場合は医療機関への連絡し、受診をお勧めします。けいれんが5分以内に止まり、けいれんが収まった後もしっかりと会話が成立するようなら緊急性がない場合が多いです。